回覧注意(エロ的な意味とグロ的な意味で)
スパナは一般的にボルト・ナットを締めたり緩めたりする時に使う工具だろう。
少なくとも今の僕みたいに、人間の頭をガンガン叩く様に用いたりはしまい。
でも仕方ない。全てこの男が悪いのだ。
今僕に自身の愛用のスパナで頭をガンガン叩かれているこの男は、
先日我が家に水道の修理という名目でやって来た業者の人間。若くてガタイのいい格好良いめの、
所謂、ウホッいい男…だった。因みに僕にその手の趣味はない。
ウチの家には父親がいない。だから、それまで男っ気が一切なかった僕の母親が、
そのいい男に惹かれるのは必然だったのだろう。
でも、帰ってきたら家のリビングで母親とその男が交わっている最中だったってのはちょっと酷い。
誰しもが決してそんな現場は目撃したくない筈だ。僕だって見たくない、見たくなかった。
母はその男に対し股を開き、だらしなく本能のままに生きる動物であるかの様に善がり、喘いでいた。
男の腰が振る度に、その喘ぎ声は部屋中に響いた。それは当然僕の鼓膜にも伝わる。
目撃した当初は、状況が理解出来なかったが、暫くしてからふと、
その日、保険の授業で習った内容を想起していた。
僕が未だにそういった知識を得ていないと思って、二人は好き勝手そんなことしているのだろうが、
舐めるなよ。男子三日会わざれば刮目して見よ。
流石にこの僕だって来年中学に上がるんだ。それくらいは知っている、知っているんだ。
僕がその様子を影から見守る中、二人は相変わらず獣の様に交わっていた。
男の前後する腰の動きは、端から見ると酷く滑稽に見えて、それに喘ぐ母は僕の知るそれとは最早完全に別人だった。
僕は母が好きだった。僕が幼い頃に父が亡くなり、それからずっと女手一つで僕を育ててくれたのだ。
日中働きに出て、帰ってくれば家の用事に追われる。休む暇など少しもないまま、僕を養う為に日々を過ごしていた母。
僕は母そんな母が好きだった。――だが、それとは全く違うその母の姿に、僕は嫌悪感を抱きかけた。
そして思考は展開する。あいつだ。あの男が悪いんだ。あいつがいるから、僕はこんな想いをすることになったんだ……!
暫くして男は、母との行為を終え、ソファーの上で寝ている母にそろそろ帰ると告げて、
そのまま玄関を出た。間抜けにも、お前を狙っている僕が待ち伏せている事に気が付かずに。
僕は背後から近づき、素早く男の着ていた作業服の腰にあったスパナを奪い――それを振り下ろした。
男は短く呻き声を上げ、呆気なくその場に突っ伏した。僕はこれ幸いとばかりに思うが侭スパナを振り下ろす。
男の頭部を集中して叩く。頭部は人間の重要器官の一つだと、誰かに教えて貰った気がする。
つまり、そこを叩けばこの男は死ぬ。そう、死ぬんだ。よし、じゃあ死ね。死ね死ね死ね。死んでしまえ。
僕の母をおかしくした悪いお前は死ね。死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね。氏ねじゃなくて死ね。
叩き始めた当初から今までずっとだったが、叩いた際に出来た傷口から赤い液体が噴出する。
それが血だというのは、僕にも当然理解出来た。僕がスパナをふるう度に、それは傷口から飛び散った。
だが、興奮していた僕はそんなモノは気にも留めず、ただ一心不乱にスパナを振り下ろした。
そして、それからどれくらい経っただろうか。
血が飛び散り、骨の破片や肉の一部が飛び散り、家の前は酷い惨状になっていた。
男の頭部は既に原型を留めていない。グチャグチャ過ぎてどんなパズルが得意な人間でも、
これを元に戻すのは不可能だろうな、と。そう確信させられる程に酷い状態。
男が既に事切れているのは明白だった。
だが、僕はまだ叩き続けた。母を変えた憎い男は死んだのだ。
それは頭では理解している。だが、スパナを振るう腕は止まらない。
何かに取り憑かれたかの様に、僕は猛然とスパナを振るう。振るう。振るう。振るう。振るい続ける。
もうこれ以上は必要ないのに、グチャグチャな頭部を更にグチャグチャにする為叩き続ける。
そして無駄に血漿が、肉片が、人間だったモノの一部が周囲に飛び散り、より酷い惨状を作り上げる。
多量の血液の流出。それに伴って発生する、酷い異臭。
だが、僕にはそれすらも気にならなかった。何故か?
――それは、この、男の頭を、叩くのが、楽しくて、仕方なかった、からだ。
わからない。何故こんなにも楽しいのだろう。
スパナを振るう。鈍い音が響き、それと同時に死体の一部が欠損する。
その一連の行為と現象が僕には楽しくて仕方なかった。
嗚呼、そうか。そういうことか。
昔、母からよく教わってた事の一つに、“無闇に人を叩いてはいけません”
って、いうのがあったっけ。それがいけないのは、要するにアレだ。
人間はそれを行うと、楽しすぎてそれだけに夢中になってしまうからなんだ。
そしてスパナを振るいながら僕は考えた。
大人はあれこれダメだダメだと言うが、それはその殆どの行為に快楽が伴うからじゃないのかな?
お酒を飲むのもそうだ。煙草を吸うのもそうだ。そして、さっき男と母がしていたセックスも、
そして僕が現在進行形で行っている、殺人と死体損壊行為をそうなんだ。
なんだ、大人ってズルいや。こんな楽しいことを子供には隠しておくなんて。
きっと偉そうな顔して、大人ってのは影で色んな楽しいことをしているんだろうなぁ。
昨日まではそうは思わなかったが羨ましいなぁ。それを知ってしまった僕は、早く大人になりたくて仕方なくなってきた。
('∀`)「それにしても楽しいなぁ! 楽しい楽しい! 楽しいよぁ!!」
とりあえず、僕は目の前の新しい遊びに集中することにした。
僕の目の前にあるソレは、最早憎き男の死体ではなく、新たな楽しさを覚えた僕の新たな玩具の一つに過ぎない。
夢中で死体を叩き続けながら僕は考えた。
('∀`)(僕は将来この行為だけをして過ごしたいなぁ。だってだって、楽しいんだもの!
どこかにそんな都合のいいお仕事はないものかな? うーん…………そうだ! お肉屋さんだ!
お肉屋さんならお肉をいっぱい叩ける! よぉし、僕は将来お肉屋さんになるぞ!
でも、お肉屋さんになるにはどうしたらいいんだろう? 後でグーグル先生に聞いてみようっと!)
将来の夢も見つかり、この先の生活に希望が芽生えた所で、僕は嬉しさの余りもう一度勢い良くスパナを振り下ろした。
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これ最後の1レスだけじゃね?
まとめるならちゃんとまとめろよな