ふたりいっしょ。
それを、さも当然であることのように感じていたし、体言していたよ。
私達は、互いを互いの片割れのように思っていたし、想っていたんだ。
私とは性格が正反対でありながら、
私のような考えをし、行動をする。
それは奇跡のような出逢いだった。
しかし、二人一緒に気付いたんだ。
私は私であり、私以外と思考が同じであることは、気味が悪い、と。
まるで、トレースしたように同じ思考を同時にぶちまけた。
そうだな。高校二年生の頃だから……おっと、年齢は伏せておこうか。
気付くのが遅すぎる? ほっといてくれ。
まあ、笑えるだろうな。それまでその矛盾を全く感じなかったのだから。
話を戻そうか――それからはごくごく平凡に過ごすのにも確かな違和感を感じていたね。
私がああ、こうしよう。と思う。
そうすると、もう一方も同じ行動を開始しようとしているんだ。
わたしたちは、そこまで、にかよってしまっていたんだ。
それは、こころをまるきりよまれているのとおなじことだ。
それは、きょうふいがいのなにものでもない。
……ん? 殺そうかとはまるで思わなかったよ?
君はおかしな事を聞く。
死なんてものは逃げだ。
私にとっても、相手にとっても。
嫌だから殺すなんて、単なる極論だよ。
狂っているとしか思えないね。
私に言われたくはなかったか?
ならば、それ相応の受け答えをするべきだ。
……まあ、思わなかったのは私の彼女に対する意識も原因かもしれないが――
そこで、彼は少し驚いたように呟いた。
(´・ω・`)「珍しいな、君が言い淀むなんて」
川 ゚ -゚)「それくらい、誰にだってあるだろう」
だけれど、それは必然であったようにも思う。
私の覚えている限りでは、ここ――バーボンハウス――で、
物事を濁すような言動をしたことはないのだから。
(´・ω・`)「いや、君だからこそ……だ。
その原因とやらを聞かせてくれないか?」
川 ゚ -゚)「嫌だね。それは私にとっての核心だ。
誰にも話すことのなかったただ一つの、な」
ほう、と彼は感心したように笑う。
(´・ω・`)「その、一緒だった彼女にすら?」
川 ゚ -゚)「それこそ、論外だよ」
(´・ω・`)「ふむ、俄然興味が沸いた。話してくれないものかな」
テキーラを差し出しながら、しょぼくれた眉を心なしか上げる彼。
私はそれをぐい、と一口飲み、
川 ゚ -゚)「却下だ」
とだけ答えた。
(;´・ω・`)「ちょ」
川 ゚ -゚)「こればかりは駄目だ。それに、勝手に出したのは君だろう?」
(;´・ω・`)「それには反論出来ないけどさあ……」
はあ、とため息を吐き、自らもテキーラを煽る。
その仕種には一種の諦めのようなものも感じた。
再び垂れ下がった眉があまりにも憐れに見える。
川 ゚ -゚)「これがテキーラ代を抜いた今日のお代だ。
あと、御礼にこれだけは教えておこう」
淡々と、店を出る準備をしながら一つ。
川 ゚ -゚)「今日はな、その彼女に逢うんだ」
(´・ω・`)「ん? いつも一緒だったんだって……?」
いきなり言われ、一瞬目を見開いたが、すぐに首を傾げ、質問に応対した。
この辺、彼の頭の回転の良さが伺えるな。
川 ゚ -゚)「流石に、耐え切れなかったんだよ。
同時に一旦離れようとなってな……久しぶりに逢えるんだ」
(´・ω・`)「ふうん。じゃ、感動の再会ってわけか」
川 ゚ー゚)「感動……と、呼べる程のものならいいがな」
シニカルに笑いあう。
ああ、今日は初めてだらけだ。
ここで自分を語るのも、言い淀むのも、笑うのも。
ここまで来たら、もう一つ、初めてを増やしてみようか。
川 ゚ -゚)「マスター、ありがとう」
去り際に一言。初めて、彼をマスターと呼んだ。
(;´・ω・`)「…………っ」
慌てながらいってらっしゃい、と言うマスターを尻目に、私は久しぶりに彼女に逢いに行くのだった。
「やあ、片割れの私」
赤い髪をした少女は、先程の私のようにシニカルな笑みをしながら、私を迎えた。
「やあ、片割れの私」
私は――
終わり。
PR
トラックバック
トラックバックURL: