( ゚∀゚)「なに、この結末は知ってたさ」
彼は私から視線を外してと空を見上げた。
どこまでも突き抜ける水色の空にくっきり浮かぶ白い雲。
青春を彩るのにあまりにふさわしい空。
校舎裏のさびれた辺りにも鮮やかな空は平等にあった。
遠くサッカー部が練習する声が聞こえる。
仲間と意志疎通を計る、だが私の耳には何の意味も聞き取れない声。
从'ー'从「ごめんね。でもジョルジュ君は、友達なの」
( ゚∀゚)「いいって。分かってたから」
それなりにショックを受けている筈の声に動揺は見られなかった。
彼は、ジョルジュはこんなに優しいのにどうして私はこの人じゃダメなんだろう。
自分の不器用さが悲しい。顔も良くて、性格も良くて、運動神経も良くて、いつもみんなの中心で。
ジョルジュと付き合いたい女の子なんてきっとたくさんいる。
私だって普通ならこんな選択はしなかっただろう。
並んでもたれた壁から背中を離す。
从'ー'从「じゃあ、私もう行くね」
一歩、足を踏み出す。
( ∀ )「もう少しだけそこにいてよ」
聞こえた声にはかすかに苦悶が滲んでいた。
从'ー'从「でも、私は自分を変えられないよ」
( ゚∀゚)「知ってるよ。自分が好きな奴がどんな奴かなんて知ってる」
从'ー'从「じゃあ……」
( ゚∀゚)「もう少しだけいてよ」
从'ー'从「………」
私は振り向いて首を少し傾げて見せた。
私がここにいる意味なんて無い、きっと無い。
せっかく私なんかを好きになってくれても報いることは出来ない。
世界が終わるまで立っててもその気持ちに報いることは出来ない。
( ∀ )「もう少しだけ、俺のために時間を使ってよ」
彼は少し顔を背けて言葉を宙に投げた。
私はその言葉を受け止めきれずに目を閉じた。
その苦しみは、胸の痛みは、昨日の私と同じもの。
从'ー'从『ショボン君、あのね、私君が好きなの』
(´・ω・`)『……うん。知ってた。ごめん』
从'ー'从『謝るの、ちょっと早いよ』
(´・ω・`)『………』
(´・ω・`)『ワタナベさんはさ、可愛いよ』
(´・ω・`)『可愛いし、優しいし、気配りも出来るし。少しおっちょこちょいだけどね』
(´・ω・`)『僕が普通の男子だったら好きになってたよ。実際友達としては好きだし』
从 ー 从『……』
(´・ω・`)『でもね、僕は女の子を好きにはなれないんだ。男しか好きになれない』
(´・ω・`)『ごめんね』
昨日の会話の反芻を終えて、目を開けた。
目を開けた先にジョルジュがいた。
ジョルジュと視線がぶつかった。
( ゚∀゚)「好きだ」
从'ー'从「私は……」
( ゚∀゚)「好きだ。好きだ。好きだった。お前が誰を好きだとしても」
( ゚∀゚)「伝えずにはいられなかった」
今度は彼が壁から離れて歩きだす。真っ直ぐ私の目を見たまま近づいてくる。逃げられない、目を逸らすことも出来ない、強い力を帯びた視線。少し足がすくんだ。
( ゚∀゚)「好きだよ」
手を伸ばせば頬に触れられる位置で言葉は私に染み込んだ。
校庭の喧騒と、校舎裏の静寂。
私はゆっくりまばたきをした。
从'ー'从「……ありがとう」
泣きそうな笑顔に顔を歪めて、彼は私の横を通り抜けた。
風が私と彼の間の空気を動かす。
数歩進んで彼の足音は止まった。
( )「明日またな」
肩越しにいつもの明るい声が聞こえる。
从;ー;从「うんまたね」
鮮やかな空の下、何故か私は涙が止まらなかった。
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