集合場所はここのはずだ。
掲示板に書かれた住所をプリントアウトしたものを見直しながら集まるのを待つ。
(‘A`)(今日俺は死ぬんだな……)
俺が待っているのは集団自殺のサイトで知り合った赤の他人だった。
自分と同じように今日死ぬためにここに集まってくる者たち。
特別な感情はこれっぽっちもないが、ふんぎりつけるためのきっかけにはなった。
それだけでも感謝はしておこうかな、なんて思いながら、俺は待ちつづける。
やがてメンバーは集まった。
ハハ ロ -ロ)ハ (‘_L’) ( ФωФ)
('A`)(俺を含めたこの4人で……死ぬ……)
方法は睡眠薬を飲むものだった。
軽く自己紹介した後、直ぐに始まるものだと思っていたが、予想外のことが起きた。
ハハ ロ -ロ)ハ「ドクオ君は中学生なんですよね?」
('A`)「あ、はい……学校行ってないですけど」
ハハ ロ -ロ)ハ「この中で一番若い君にお願いがあるのです」
('A`) ?
「私たちが死ぬのを見届けてくれませんか?」
('A`)「え……それってどういう……」
ハハ ロ -ロ)ハ「ここにはドクオ君の分の薬もあります。
ですが、私たちが死ぬのを見届けてから薬を飲んでくれませんか?」
('A`)「……一緒に死ぬな、ってことですか?」
ハハ ロ -ロ)ハ「あ、違うんです。そういうことじゃなくて……」
63 :4/14:2008/06/10(火) 02:12:51.13 ID:Lrin9F8C0
ハハ ロ -ロ)ハ「私たちだって何も最初から死のうなんて思っていたわけじゃありません」
ハハ ロ -ロ)ハ「でもそれぞれにいろいろあって、今、死ぬことを選びました」
ハハ ロ -ロ)ハ「……でもです。……もし、やり直すことができたら」
ハハ ロ -ロ)ハ「……何度も考えました。少なくとも私は」
(‘_L’)「私もです」
( ФωФ)「我輩もだ」
('A`)「……」
ハハ ロ -ロ)ハ「戻れるなら……やり直せるなら……あなたぐらいからやり直したかった」
正直に言うと、聞いた瞬間イラついた。
('A`#)「それで、自分たちが死ぬのを見て考え直せと?
お前は俺たちより若いし辛くないからやり直せると、そういうことですか!?」
ハハ ロ -ロ)ハ「……いえ、ただ、看取って欲しいんです」
ハハ ロ -ロ)ハ「あなたに……若い頃の自分を重ねながら……逝かせて欲しいんです」
そう言いながら、俺より何倍も長い人生を耐えてきた人たちが、最後に、俺に頭を下げている……。
(‘A`)「……わかりました」
ハハ ロ -ロ)ハ「……いきます」
飲んだ。
他の二人もほぼ同じタイミングで続く。
そして、三人とも頭から畳に突っ込んで……それきりだった。
('A`)「……」
なんだこれ?
これを見て俺が気持ち変えるとでも思っていたのかよ?
ハハ - ?-)ハ (-_L-) ( -ω-)
('A`;)「……」
……勝手にこんな役押し付けて。
一番若いからって理由で置き去りにして。
(; 'A`)つ- ?-)ハ
……まだ……全然あったかい。
(;'A`;)
俺は小さなちゃぶ台の上の薬を見た。
結局俺は死ねなかった。
別に生きてくれなんて言われたわけでもないのに生きている。
死んでも良かったんだ。
なのに……
(;A;)「うぅ……」
死ねなかった。
そればかりか泣いていた。何に?自分でもわからない。ただ泣きまくった。
悲しいから泣いているのではないことだけは自分でわかっていた。
怖いから泣いているのも違うとわかっていた。
むなしいから? さみしいから? 考えてみてもこの感情の名前はわからなかった。
考えている間も、ずっと涙を流し続けた。
泣いているのは生きているからだ、なんて頭の片隅で思いながら、また泣いた。
(;A;)「た、だ、いま……」
泣きながら、家まで歩いていた。
J(; 'ー`)し「おかえ……って、どうしたの!? そんなに泣いて!?」
J(; 'ー`)し「お風呂入れてあるから入ってきなさい」
(;A;)コクッ
そして死ねないままに今日が終わろうとしている。
ハハ ロ -ロ)ハ (‘_L’) ( ФωФ)
ハハ - ?-)ハ (-_L-) ( -ω-)
ふいに、死んでも忘れられない体験をしたんだ、と思った。
(‘A`)「……」
寝れない。
ずっとあの光景が見える。
ああいうふうになろうとしていたんだ、俺。
(つA;)「くそ……また……」
その日は寝つきが悪かった。
( ´ー`)「お、おい! ドクオが登校してきたってーヨ!」
<ヽ`∀´>「あぁん? あのキモオタ野郎がニダ? 今頃きても中学浪人決定じゃないのかニダ?
とにかく顔を見に行ってやるかニダw」
<ヽ`∀´>「おー本当にきてるニダ」
(‘A`)「……ニダー」
<#ヽ`∀´>「いきなり来たと思ったら呼び捨てニダか!? こいつ生意気になって帰ってきたニダ!」
(‘A`)「……」
ハハ ロ -ロ)ハ「戻れるなら……やり直せるなら……あなたぐらいからやり直したかった」
(‘A`)「……」
気がついたらニダーにパンチをお見舞いしていた。
<ヽ`∀´>「ニダッ! こ、こいつ!」
さらにパンチ。
倒れたところをマウントポジションをとり、力任せに殴る。殴る。殴る。
(; ´ー`)「お、俺はしらねーヨ!」
外野が騒ぎ出す。知ったことか。殴る。殴る。殴る。
(#,,゚Д゚)「なにやってんだゴルァ!!」
久しぶりの登校なのに、朝のHRが始まる前に指導室に連行された。
(,,゚Д゚)「……どういうことか説明できるかゴルァ」
(‘A`)「……なんていうか」
(‘A`)「簡単だなって思いました」
(,,゚Д゚)「……?」
(‘A`)「俺の登校拒否の理由知ってますか?」
(,,゚Д゚)「……想像はつく」
(‘A`)「まぁ……いいんです。先生に言わなかったのも俺だし。ただ……」
(‘A`)「宇宙人みたいに思っていたニダー……俺は見ての通りひ弱だし、
反抗するなんて考えたこともなかった。けど……」
(‘A`)「死ぬ前に殴っておこうかな、って思ったら、案外あっさり殴れちゃいましたw」
(,,゚Д゚)「お、おい……」
(‘A`)「嘘ですよ、嘘。あ、あと先生、俺卒業できますか?
それとも今日暴力事件起こしたから無理ですか? 退学ですか?」
(,,゚Д゚)「お、お前、ちょ、待て」
(‘A`)「決まったら家に連絡してください。今日は帰ります。失礼しました」
鞄を取りに教室に戻ったらもう授業が始まっていてみんなこっちを見た。
そんな視線もなんのそので、鞄をとってまっすぐ帰った。
別にいじめられてた時助けてくれなかったクラスメイトへの当てつけとかじゃない。
ただ、思うままに行動してみた。
普通なら、一念発起して負けん気出して、ニダーが何をしてきても耐えて無視して卒業! とかなんだろうけど、あいにくそこまで学校に噛り付いていたいとは思えなかった。
卒業しても高校に行く気はないし、退学でも別に関係ない。
あれ? 中学って退学あったっけ?
俺の目の前で死んだ三人は、俺のことをどう思うだろうか?
きっとキチガイだと思うに違いない。
折角のやり直しのチャンスを、中二病+DQN的行動でバッキバキにへし折ったのだから。
尾崎といい勝負だ、まったく。
家に帰ったら何しようかな。
まずはカーチャンに謝って、
料理でもしてみようかな。
カレーなら小学校のとき作ったことあるな。
あと働くことも考えないとな。中卒でもいいとこあるかなぁ?
考えたら楽しくなってきた。
不安よりも期待が大きかった。何でもできる気がした。
やってないことがたくさんあるんだ。死ぬまで楽しそうなことやって死んでやる!……って本気で思った帰り道だった。
~おわり~
タイトルがなかったのでこちらでそれっぽいのをつけました
ハハ ロ -ロ)ハ (‘_L’) ( ФωФ)
('A`)(俺を含めたこの4人で……死ぬ……)
方法は睡眠薬を飲むものだった。
軽く自己紹介した後、直ぐに始まるものだと思っていたが、予想外のことが起きた。
ハハ ロ -ロ)ハ「ドクオ君は中学生なんですよね?」
('A`)「あ、はい……学校行ってないですけど」
ハハ ロ -ロ)ハ「この中で一番若い君にお願いがあるのです」
('A`) ?
「私たちが死ぬのを見届けてくれませんか?」
('A`)「え……それってどういう……」
ハハ ロ -ロ)ハ「ここにはドクオ君の分の薬もあります。
ですが、私たちが死ぬのを見届けてから薬を飲んでくれませんか?」
('A`)「……一緒に死ぬな、ってことですか?」
ハハ ロ -ロ)ハ「あ、違うんです。そういうことじゃなくて……」
63 :4/14:2008/06/10(火) 02:12:51.13 ID:Lrin9F8C0
ハハ ロ -ロ)ハ「私たちだって何も最初から死のうなんて思っていたわけじゃありません」
ハハ ロ -ロ)ハ「でもそれぞれにいろいろあって、今、死ぬことを選びました」
ハハ ロ -ロ)ハ「……でもです。……もし、やり直すことができたら」
ハハ ロ -ロ)ハ「……何度も考えました。少なくとも私は」
(‘_L’)「私もです」
( ФωФ)「我輩もだ」
('A`)「……」
ハハ ロ -ロ)ハ「戻れるなら……やり直せるなら……あなたぐらいからやり直したかった」
正直に言うと、聞いた瞬間イラついた。
('A`#)「それで、自分たちが死ぬのを見て考え直せと?
お前は俺たちより若いし辛くないからやり直せると、そういうことですか!?」
ハハ ロ -ロ)ハ「……いえ、ただ、看取って欲しいんです」
ハハ ロ -ロ)ハ「あなたに……若い頃の自分を重ねながら……逝かせて欲しいんです」
そう言いながら、俺より何倍も長い人生を耐えてきた人たちが、最後に、俺に頭を下げている……。
(‘A`)「……わかりました」
ハハ ロ -ロ)ハ「……いきます」
飲んだ。
他の二人もほぼ同じタイミングで続く。
そして、三人とも頭から畳に突っ込んで……それきりだった。
('A`)「……」
なんだこれ?
これを見て俺が気持ち変えるとでも思っていたのかよ?
ハハ - ?-)ハ (-_L-) ( -ω-)
('A`;)「……」
……勝手にこんな役押し付けて。
一番若いからって理由で置き去りにして。
(; 'A`)つ- ?-)ハ
……まだ……全然あったかい。
(;'A`;)
俺は小さなちゃぶ台の上の薬を見た。
結局俺は死ねなかった。
別に生きてくれなんて言われたわけでもないのに生きている。
死んでも良かったんだ。
なのに……
(;A;)「うぅ……」
死ねなかった。
そればかりか泣いていた。何に?自分でもわからない。ただ泣きまくった。
悲しいから泣いているのではないことだけは自分でわかっていた。
怖いから泣いているのも違うとわかっていた。
むなしいから? さみしいから? 考えてみてもこの感情の名前はわからなかった。
考えている間も、ずっと涙を流し続けた。
泣いているのは生きているからだ、なんて頭の片隅で思いながら、また泣いた。
(;A;)「た、だ、いま……」
泣きながら、家まで歩いていた。
J(; 'ー`)し「おかえ……って、どうしたの!? そんなに泣いて!?」
J(; 'ー`)し「お風呂入れてあるから入ってきなさい」
(;A;)コクッ
そして死ねないままに今日が終わろうとしている。
ハハ ロ -ロ)ハ (‘_L’) ( ФωФ)
ハハ - ?-)ハ (-_L-) ( -ω-)
ふいに、死んでも忘れられない体験をしたんだ、と思った。
(‘A`)「……」
寝れない。
ずっとあの光景が見える。
ああいうふうになろうとしていたんだ、俺。
(つA;)「くそ……また……」
その日は寝つきが悪かった。
( ´ー`)「お、おい! ドクオが登校してきたってーヨ!」
<ヽ`∀´>「あぁん? あのキモオタ野郎がニダ? 今頃きても中学浪人決定じゃないのかニダ?
とにかく顔を見に行ってやるかニダw」
<ヽ`∀´>「おー本当にきてるニダ」
(‘A`)「……ニダー」
<#ヽ`∀´>「いきなり来たと思ったら呼び捨てニダか!? こいつ生意気になって帰ってきたニダ!」
(‘A`)「……」
ハハ ロ -ロ)ハ「戻れるなら……やり直せるなら……あなたぐらいからやり直したかった」
(‘A`)「……」
気がついたらニダーにパンチをお見舞いしていた。
<ヽ`∀´>「ニダッ! こ、こいつ!」
さらにパンチ。
倒れたところをマウントポジションをとり、力任せに殴る。殴る。殴る。
(; ´ー`)「お、俺はしらねーヨ!」
外野が騒ぎ出す。知ったことか。殴る。殴る。殴る。
(#,,゚Д゚)「なにやってんだゴルァ!!」
久しぶりの登校なのに、朝のHRが始まる前に指導室に連行された。
(,,゚Д゚)「……どういうことか説明できるかゴルァ」
(‘A`)「……なんていうか」
(‘A`)「簡単だなって思いました」
(,,゚Д゚)「……?」
(‘A`)「俺の登校拒否の理由知ってますか?」
(,,゚Д゚)「……想像はつく」
(‘A`)「まぁ……いいんです。先生に言わなかったのも俺だし。ただ……」
(‘A`)「宇宙人みたいに思っていたニダー……俺は見ての通りひ弱だし、
反抗するなんて考えたこともなかった。けど……」
(‘A`)「死ぬ前に殴っておこうかな、って思ったら、案外あっさり殴れちゃいましたw」
(,,゚Д゚)「お、おい……」
(‘A`)「嘘ですよ、嘘。あ、あと先生、俺卒業できますか?
それとも今日暴力事件起こしたから無理ですか? 退学ですか?」
(,,゚Д゚)「お、お前、ちょ、待て」
(‘A`)「決まったら家に連絡してください。今日は帰ります。失礼しました」
鞄を取りに教室に戻ったらもう授業が始まっていてみんなこっちを見た。
そんな視線もなんのそので、鞄をとってまっすぐ帰った。
別にいじめられてた時助けてくれなかったクラスメイトへの当てつけとかじゃない。
ただ、思うままに行動してみた。
普通なら、一念発起して負けん気出して、ニダーが何をしてきても耐えて無視して卒業! とかなんだろうけど、あいにくそこまで学校に噛り付いていたいとは思えなかった。
卒業しても高校に行く気はないし、退学でも別に関係ない。
あれ? 中学って退学あったっけ?
俺の目の前で死んだ三人は、俺のことをどう思うだろうか?
きっとキチガイだと思うに違いない。
折角のやり直しのチャンスを、中二病+DQN的行動でバッキバキにへし折ったのだから。
尾崎といい勝負だ、まったく。
家に帰ったら何しようかな。
まずはカーチャンに謝って、
料理でもしてみようかな。
カレーなら小学校のとき作ったことあるな。
あと働くことも考えないとな。中卒でもいいとこあるかなぁ?
考えたら楽しくなってきた。
不安よりも期待が大きかった。何でもできる気がした。
やってないことがたくさんあるんだ。死ぬまで楽しそうなことやって死んでやる!……って本気で思った帰り道だった。
~おわり~
タイトルがなかったのでこちらでそれっぽいのをつけました
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