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2024/11/26 05:20 |
ζ(゚ー゚*ζは恋は多くて当たり前、なようです

    ζ(゚ー゚*ζ「……気持ちを大事にしなければならないってぇ……なんなのー?」


    「……君がすること全てが、それを物語ってるよ」


    ζ(´ー`*ζ「意味わかんなぁいこといわないでー…」

    ζ(´o`*ζ「あふぅ…ねむたい…」


    「君は本当に……今も昔も、自由だね」


    ζ(´~`*ζ「いやん。褒めてもなにもでないよー」


    (褒めてない……)



    ───なんて……こんな他愛もない会話が、彼女との最後だなんて……あぁうーん……何となく、わかっていたのかも。



    ζ(゚ー゚*ζは恋は多くて当たり前、なようです



    彼女は僕の幼馴染み……なんて、ある一部の人達にとってはとても甘美な言葉だろう。

    僕らが生まれる以前から、
    親達は知り合いだったらしく家も隣り同士だった。

    「……」

    ζ(-、 -*ζ「すやすや…」

    「………はぁ」


    それが運命になり、そして定になるのは……もはや、それはもう考える事でもない。


    ζ(゚ー゚*ζ「デレねー!この人と付き合ってたのー」

    小中学…と彼女は決して、頭のネジが外れたような奇行はしなかった。

    むしろ、彼女は優等生といえた。

    ζ(゚ー゚*ζ「あとこの人とこの人とこの人とこの人とこの人とこの人とこの人とぉー」


    高校から、彼女は変わった

    彼女がいうには──彼氏と言われる人が常に最低でも五・六人いるらしい。

    僕がいうのも変だが、
    皆、一拍ありそうなイケメンだらけでまさによりどりみどり。


    「…今日は誰に会いにいくの」


    ζ(゚ー゚*ζ「えー?ケンくーんだよぉー?」


    「あー……あのボクサー目指してるっていう……
    まぁ夜、暗いから気をつけてね」

    ζ(゚ー゚*ζ「だいじょーぶー…ケンくん車もってるからぁ送ってもらうのぉ」

    そういって僕よりやや小さい彼女は、
    上目線で僕を見やった。

    彼女の潤んだ黒い双眸に僕の生気のない顔が写る。
     
    「いってらっしゃい」
     


    ──うん。今、僕は上手く笑えただろうか。


    「……」

    そんな彼女は、いつも金曜日の夜になると、何故か僕の部屋に訪れた。

    「……はぁ」

    そして、そのまま夜更けるまで語り合う。

    「……」

    なにもするわけじゃない。
    十代の若い者がけしからんことをするだろう…と思うだろうが、

    「……」

    僕らまるで兄弟のように同じベットに眠り、夜を共にした。

    だからこそ──僕は、彼女は大切な存在でもある。




    ζ(゚ー゚*ζ「ひっくんー」

    「……デレ」

    ζ(^ー^*ζ「うんっ。デレだよー」

    「……どうしたの?いま僕、普通に授業中なんだけど」

    ζ(゚ー゚*ζ「知ってるよー。だから来たんだもんっ」

    そう言うと、トテトテと幼い歩みで僕の机に近寄ってくる。

    その間、授業中のはずの教室は手を打ったように静まり返り、事の成り行きを眺めていた。

    ζ(゚ー゚*ζ「えへへ~…ひっくん?」

    「どうしたの?ご機嫌だねなんか」

    そんな僕の言葉聞いて──彼女は、

    ζ(゚ー゚*ζ「デレね、学校やめることにしたのぉ」


    はい?

    「え……なんで?」

    僕は驚きでよほど変な表情していたのだろう。
    彼女は目を細めクスクスと笑うと、


    ζ(^ー^*ζ「うんーわたしねぇーカケオチするんだぁ」


    「か…かけおち…?」


    なんと、この時代、
    ましてやこの年代でその言葉を聞くなんて……
    バレーがオリンピック出場決定並に驚いた。

    ζ(゚ー゚*ζ「でねぇー最後にひっくんに、
    ご報告していこうなぁ~…なんておもったからぁ」


    「も、物凄く急だね…驚いたよ」


    ζ(゚ー゚*ζ「やったぁ~ひっくん驚いてたぁー」

    「………いつ決めたの?」

    ζ(^ー^*ζ「きのうー」

    そりゃ驚くよ。

    ζ(゚ー゚*ζ「じゃあばいばいーひっくん~」


    「……うん、ばいばい」


    ζ(゚ー゚*ζ「……」

    くるっとスカートと膨らませながらターンをすると、
    彼女は入ってきたドアへと手に掛けた。

    「……」

    僕はその姿を、黙って見つめ続けた。


    「……デレッ!」


    その僕の大声に、びくんと肩を震わせて彼女は振り向いた。

    ζ(゚ー゚*ζ「…?」

    彼女は不思議そうな表情。

    僕はそんな彼女の顔みつめ──



    (-_-)「がんばってね」



    決して、いってらっしゃいとか、またねとか、さようなら……なんて、僕は言わない。

    ζ(゚ー゚*ζ「……」


    彼女は、彼女だから。僕個人の意思で、彼女を有志してはいけないのだから。


    ζ(゚ー゚*ζ「……うん!」


    彼女は、笑って、返事をしてくれた。





    ζ(;ー;*ζ「……ばいばい」

    ごめんね、デレ。


    「んにゃむにゃ…なんでだろうね…」
    「……なにが?」
    「ひっくんはぁ…なんでだろー…って思ってぇー」
    「……えーと、話にちゃんと脈絡つけようね…」

    「え……」

    「……」
    「……」
    「……」
    「……あふぅ」
    「……はぁ」

    「ひっくん」
    「なに、デレ」

    「ひっくんは……恋はしないのぉ?」
    「……しないよ」
    「えぇ~?なんでぇ?
    デレびっくりぃ…」

    「僕はいいんだよ。恋なんて、夢のまた夢だ」
    「えぇっ?…でも、恋なんていっぱいあるよぉ?」

    「それはデレだけだよ……
    普通はそんなには、恋なんてあるもんじゃないし、
    出来るもんじゃない」
    「……そぉう?」


    「私は……そう思わないなぁ」
    「……なんでそう思うの?」

    「ひっくんはさ、考え方が古いと思うの…わたしぃ」
    「僕も確かに古くさいと思うよ……
    この世の中おとぎ話のようなプラトニックな関係なんて、そうないしね」
    「ぷ…ぷら…プラプラ?」
    「うん。ごめんね。僕が悪かった」


    「むぅー…なんかデレのことばかにしてるぅー」
    「ううん、してないよ」


    「ほんとう…?」
    「ほんとうだよ」


    「キャハーよかったぁ!」
    「うぐぇ!…で、デレ…急に背中に乗るの勘弁して…」
    「ご、ごめぇん…」









    「ひっくん、だぁぁぁいすきだよっ」
    「……うん、僕もだよ」








    僕らには、決して恋はできない。
    だからこそ、僕らは……繋がることをやめたんだ。


    (-_-)「頑張ってね……」


    おわり
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2008/06/16 23:16 | Comments(0) | TrackBack() | 総合短編

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