『 ('A`)と手紙なようです』
(;'A`)「な…何……だと……何……だとう……なん……だとう……難堕島」
('A`)「難堕島とは……一体……どこにあるのか……」
('A`)「追い求めてもたどり着けない理想郷なのか……それとも
魑魅魍魎の徘徊する地獄の島なのか……難堕島とは……一体」
(; ^ω^)「おっ。厨二病かおドクオ?」
Σ(;'A`)「ってヒィイ!?」
('A`)「あ……ぶ、ブーンか」
( ^ω^)「おっおっ。一人でぶつぶつ言っててキモイお、ドクオ」
('A`)「うるせー黙れピザ。俺は今人生の危機に立たされているのだ」
( ^ω^)「……お? ブーンでいいなら相談に乗るお?」
('A`)「あぁ……この際だ、聞いてくれ。そして笑い飛ばしてくれ」
(; ^ω^)「……お? わ、解ったお。とりあえず話してみるお」
不思議そうな顔をするブーンに、とりあえず俺に起きた小さな、
けれど俺にとっては一大事な事を説明してやる。
それは、ホームルーム後の休み時間に起こった。
( ・∀・)「ドクオー」
('A`)「んあ? モララーどした?」
( ・∀・)
(・∀・ )
( ・∀・)「ちょっと……ここじゃ何だな。お前に渡したい
物がある。着いてきてくんない?」
('A`)「……? ああ、いいけど……」
そうして連れて行かれたのは、廊下のドン詰まりにある階段の裏。
休み時間なのに人気のないこの場所に、遠く生徒の笑い声が響くのが
なんだか現実味がなくてボーっとしていると。
( ・∀・)「よし。ここならいいかな」
('A`)「……何が? つうか、渡したい物って何よ?
新作エロゲ?」
( ・∀・)「俺がそんなモンするよーに見えるか」
('A`)「デスヨネー」
( ・∀・)「……ドクオ」
今までの軽い雰囲気が嘘のような声で、突然モララーが俺の名を呼ぶ。
(;'A`)「な、何……」
( ・∀・)「いいか、茶化すなよ。真剣なんだ」
(;'A`)「お、おう」
( ・∀・)「お前に渡したいものがある」
(;'A`)「だ、だから聞いたってそれは……」
言って、モララーが制服のポケットに手を突っ込み、少ししてから差し出した物。
( 'A`)「えーと」
('A` )「その」
白い封筒にピンクのシール。
しかもご丁寧にハートマークの。
Σ(;'A`)「なん……だと……!?」
それは、どっからどー見ても、ラブレターじゃあありませんか。
( ・∀・)「……この中に気持ちが綴られてい……ドクオ?」
(;'A`)「む……」
( ・∀・)「?」
(;'A`)「無理ィィィィィ―――ッ!!」
(; ・∀・)「ちょま……おい、ドクオ!」
('A`)「そうして教室に逃げ帰って現在に至るってワケだ」
(; ^ω^)「そ、それは災難だったおね」
( ^ω^)「……でも、モララーも同じクラスだから、あんまり解決に
なってないんじゃないかお?」
振り向いたブーンにつられて視線を向けると、モララーが何か言いたげな
表情でこっちを見ている。
無理。まじで無理ですから。
('A`)「いい所に気がついたな、ブーン。
なぁ、俺は一体どうしたらいい?」
( ^ω^)「おー……。モララーはイケメンだし、掘られても
まぁ別にいいんじゃ……」
( A )「なん……だと……?」
(; ^ω^)「ハッ! 殺気!」
( A )「ハッ。そーかそーか、所詮他人事だよな。
幼稚園時代から続いた俺とお前の仲もここまでって事だよな」
(; ^ω^)「ど、ドクオ落ち着けお」
(; ^ω^)「……解ったお。モララーが何かしてきそうだったら
ブーンがさりげなく邪魔してみるお」
('A`)「何、それは真か、ブーン」
( ^ω^)「おっおっ。頑張る所存ですお」
こうして、とりあえずブーンがモララーの接触を妨害してくれる事になったのだが。
―教室移動時―
( ・∀・)「……おい、ドク……」
(; ^ω^)「ど、ドクオ! つ、次の教室はどこだったかお?」
('A`)「……音楽室……」
―休み時間―
( ・∀・)「なぁ、ドk」
(; ^ω^)「き、今日の天気はいいおね、ドクオ!」
('A`)「……ああ……」
―昼休み―
( ・∀・)「ちょっと、d」
(; ^ω^)「ひ、昼は屋上で食べようお、ドクオ!」
('A`)「…………」
(;'A`)(どこがさりげないんだよ、ブーン……)
だけどまぁ、ブーンのわざとらしい妨害のおかげで、放課後まで無事に
過ごせたのは事実だ。
ホッとしながら下駄箱で靴を履き替えていると、隣からうめき声が。
(; ^ω^)「お……おお……」
('A`)「? ブーン? どうした?」
(; ^ω^)「お腹の急降下が……」
('A`)「ハァ?」
(; ^ω^)「ブーンのお腹の中で聖杯戦争が起きて七人のサーヴァントg」
(; ゚ω゚)「モルスァ―――ッ! トイレエエエエエッ!」
雄たけびをあげるとブーンは物凄い勢いで走り去ってしまった。
つまり、腹を下したのか。わかりやすく言えよこの野郎。
俺は思い切り呆れて、走り去るブーンの後姿をぼけっと眺めてしまった。
そう、ぼけっとしてしまったのだ。
後ろから迫る人物に気付きもせずに。
( ∀ )「……ドクオ」
Σ(;'A`)「ヒィッ!?」
気付いた時には既に何もかも遅かった。
モララーはもう後ろに迫っていて、そうして俺の腕をがっしりと掴んでいたのだ。
(;'A`)「ち、ちょちょちょモララーさん痛い痛い腕痛い!」
( ・∀・)「うるさいなー。どうせ離したら逃げるんだろ?」
(;'A`)「左様」
( ・∀・)「じゃー余計離せないじゃん。やっと捕まえたんだし。
着いてきてもらうんだからな!」
俺の腕を掴んだままモララーは校内をずんずん歩く。
引きずられるままに連れて行かれた場所は、やっぱり階段の裏で。
朝と同じ光景に血の気が引くのが解る。
( ・∀・)「さて、と。今日は妙にブーンが邪魔してくれたしね。
今ブーンはいないし、ここなら人もいないし」
掴んでいた手を離すと、モララーは振り返った。
やっぱりその顔は真剣で、真剣だからこそ俺は全力で拒否にかかる。
モララーはいい奴だ。いい奴だけど、やっぱりそういうのは無理だ!
( ・∀・)「……解ってると思うけど、朝の続き。
返事はともかく、とりあえず読むだけ読んでよ」
(;'A`)「無理! 無理無理!!」
( ・∀・)「なんでだよー。もしかしたら……って可能性もあるだろ?」
手にしているのはやっぱり何回見てもハートのシールがついたラブレター。
それを片手にずいっと迫ってくるモララーに、俺の動揺は最高潮となる。
(;'A`)「ま、まままま待て待てモララー俺にksmsの気はな」
( ・∀・)「……? ksmsてお前、何言ってんの?」
(;'A`)「え? だ、だってそんなハートのシールついてる手紙って……」
( ・∀・)「……なーんか、勘違いしてんじゃない?」
(;'A`)「え? ええ?」
勘違い? 勘違いって何??
( -∀-)「ハァ」
( ・∀・)「さっき説明しようと思ったらお前逃げるんだもんな。
こりゃあ、ツンさんからお前に渡してって頼まれた手紙だ」
(;'A`)「なん……だと? 何でそこでツンが出てくる?」
( ・∀・)「お前が知らないのに俺が知るか。けど、わざわざラブレター書く
なんて、ツンさんも真剣なんじゃあないか?
茶化さず相手しろよ。とにかく渡したからな!」
('A`)「え、ちょ、何その超展開……って」
('A`)「……あー、行っちゃった」
('A`)「しかし、何だってツンがわざわざ手紙なんて……」
('∀`*)「……まさか、フラグktkr?」
('A`)「まぁいいや……読んでみよう」
『ドクオへ
この間借りた辞書に三万円が挟まっていたので、有効利用しました。
一生女の子からの手紙を貰うことがないだろうアンタの為に一筆したためています。
どう? 少しだけ期待したんじゃない?
そのwktk感とこの手紙を以て三万円のお礼とします。
異議申し立ては受け付けないので、そのつもりで。
ツン』
('A`)「な……」
(;'A`)「なん……」
(;'A`)「なん……だとーッ!?」
(#'A`)「俺のエロゲ貯金がああああッ!! あのアマーッ!」
怒りに打ち震える俺に、翌日以降どこかでモララーから手紙を受け取る場面を見た
誰かによって「ドクオとモララーはアッー! な関係」という悲しい噂を立てられるのだが、
今の俺には知る由もない事であった。
おわり
お題
・「なん…だと…」 を5回以上使って書く
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