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2024/11/27 10:32 |
('A`)は走り続けるしかないようです

    熱気が容赦なく俺から水分を奪い続ける。何処までも続く砂地が俺の心に絶望を与える。
    砂漠――俺はただひたすらに、迷いなく、純粋な程にただ真っ直ぐ、走る。
    身体の疲労は既に限界に近づいている。なのに、何故俺はまだ走らねばならないのか。

    それはこの渇きを潤したいからで、この砂漠で唯一、
    それを満たせるのは、今俺の視線の先に存在する、水の成る木だ。

    湧き水や地下水などの水源を取り囲んだ、樹木が生えていて、
    この砂漠においては、明らかにその存在が浮いて孤立している場所。俗に言うオアシス。
    ただ、俺の目に飛び込んできたそれは、
    湧き出ている水の中心に、
    一本木が生えていて、俺にはその木から水が発生している様に見えた。だから、水の成る木。

    俺は走る。この異常な程の喉の渇き。身体から水分が枯渇しているのが解る。
    人間の身体の構成要素の2/3は水分だ。それの枯渇は、当然の如く死に繋がる。
    だからいくら身体が限界でも、まさに今にも倒れそうでも、俺は走る。生きる為に。だが――

    (;'A`)「クソッ……!」

    いつまで経っても俺は其処に辿り着けずにいた。なんでだよ。こんなに走ってるのに。こんなに必死なのに。
    俺の意思に反し汗が吹き出る。止まれよ。こんな風に無駄に水分を垂れ流す程、俺の身体に余裕はないんだよ。
    太陽さんも引っ込んでくれ。俺をもう虐めないでくれよ。死にたくねぇんだ。
    嗚呼、まだ着かないのか、水の成る木の許には。まだか、まだかよ。どれだけ走ればいいんだよ、畜生……。

    ( A )「――畜生」

    水の成る木――それが極限的状況における俺の精神、
    そして光の屈折現象、蜃気楼。それらが要因となって作り出された幻覚だと。
    俺は、命が尽きるその時まで気づく事が出来なかった。

タイトルがなかったのでそれっぽいのをこちらでつけました
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2008/06/12 05:44 | Comments(0) | TrackBack() | 総合短編

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