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2017/10/17 10:45 |
( <●><●>)無意味な予知のようです

    ここはどこかの中学校の昇降口前だ。

    部活帰りだろうか、そこにちらほらといた生徒達の殆どが傘を手に、急ぎ足で校門をくぐっていった。

    きっと空が重い鉛色をしているからなのだろう。
    ほら、今にも冷たい雨粒の滴が舞い落ちてきそうじゃないか。

    なのに、そこで傘を持たずにうろたえている少年がいた。
    少年の隣には、紺の折りたたみ傘を開こうとしているもう一人の少年がいた。



    (;><)「…今にも雨が降りそうなんです」

    ( <●><●>)「傘忘れたんですか?」

    (;><)「そうなんです!どうしようなんです」


    可哀相に、彼の家まではここから30分はかかるから、恐らくその間に雨は降り出してしまうだろう。
    雷も鳴りそうだ。気弱なこの少年には酷と思えた。

    ( <●><●>)「困りましたね…ん?」

    ( ><)「あ、伊藤さんなんです」


    もう教員以外は残っていないと思われた校舎から出てきたのは、一人の女子生徒だ。
    しかし二人のクラスメートであろうその娘も、傘を持ってはいなかった。


    ('、`*川「お?秀才くんとヘタレくんじゃない。どしたの、帰らないの?」

    (;><)(…ヘタレ…)

    ( <●><●>)「ビロードが傘を忘れたので帰る勇気がないんです」

    ('、`*川「あら奇遇ね、私もよ」

    ( <●><●>)「え?」

    (;><)「えー本当なんですか?確かに持ってないけど。すごく余裕に見えるんです」

    ('、`*川「たまには雨に打たれるのもいいじゃない。
    あんたはそんなだからヘタレって言われんのよ、この程度でビクビクしちゃって」

    (;><)「ヘタレって呼んでるのは伊藤さんだけなんです!」


    ビロードが叫ぶように言った瞬間、ついに地面に小さな丸い模様ができ始めた。
    ぽつぽつと、それは確かに少しずつグランドの土を濡らしていく。


    ('、`*川「ほら、くだらないこと言ってるから降ってきちゃったじゃない。私もう行くわよ」


    (;><)「ええ!?ホントに行くんですか!?やっぱり危ないんです!」

    伊藤は速足で二人から遠ざかっていく。
    今はただでさえ遅い時刻なのに、
    雨の中傘もささない女が一人歩くのはやはり危険と思われた。

    ( <●><●>)「僕が止めてきます」

    ワカッテマスが駆け出した。雨はまだ小降りだ。

    果たして彼は彼女を止められるだろうか?

    ( <●><●>)「伊藤、待ってください!」

    ('、`*川「ん?」

    ( <●><●>)「もう暗いし一人じゃ危ないです。僕が送りますから無茶しないでください」

    ('、`*川「…ありがとう。でもいいよ、忘れた私が悪いんだしさ」

    ( <●><●>)「君が嘘ついてるのはわかってます。今朝ビニール傘を持ってきてたのを僕は覚えてます」


    伊藤の顔が少しだけ歪んだ。
    図星のようだ。一体何があったのだろう。


    ( <●><●>)「君が津出達に煙たがられているのも、昼休みに寝たふりして泣いてるのもわかってます」

    ('、`*川「……」

    ( <●><●>)「今まで何もしなかったのは謝ります。
    でもこれからは僕が君を味方します。盗まれたものは僕が貸します。だから」

    ('、`*川「冷たくなった心をね」

    彼女はワカッテマスの言葉を遮り、邪悪な曇天を見上げて言った。

    ('、`*川「雨に打たれて打ち消すのが好きなの」

    その表情は実に穏やかだ。
    もどかしいまでに少しずつ降る雨粒を
    体に受ける彼女の姿は神秘的でさえある。


    ('、`*川「だから傘はいらないの。ごめん」

    そう言って彼女は走り出した。
    まるで邪魔だと言わんばかりに、ワカッテマスの手を振り払って。

    去り際の彼女は微笑んでたはずなのに、
    俯きながら走る姿は泣いてるようにしか見えなかった。

    ( <●><●>)「いと……」



    嗚呼 哀れなり
    この場に居合わせた三人ともう一人。


    伊藤が最後まで校舎に残っていなかったなら

    ビロードが傘を忘れなかったなら

    ワカッテマスが伊藤を引き留められたなら

    誰の目にもこんな光景を突き付けられることはなかっただろう。


    (;><)「!!あぶな…」

    ( <●><●>)「…!」

    ('、`*川「あ…」





    キキ――――




    ドンッ






    映像は、ここでブラックアウト。





    あのあとはどうなったのだろう。

    彼等は今も泣いているのだろうか。

    想像するしかないが、きっと良い結果にはならないのでやはりやめておこう。




    あの瞬間から三日後に通夜が行われた。


    翌日の今日は、彼女の葬式の日だ。


    ( ><)「…ワカッテマス、大丈夫ですか」

    ( <●><●>)「…多分、大丈夫です」

    ( ><)「嘘は、よくないんです」

    ( <●><●>)「なら聞かなければいいでしょう」

    ( ><)「…それもそうなんです」

    ( <●><●>)「友達が死ぬ瞬間なんか見たら誰だって、三日経ったくらいじゃ立ち直れません」

    ( <●><●>)「…これだから金持ちは嫌いです」


    ( ><)「…明日、ショボンさんの所へ行くといいんです」

    ( <●><●>)「……」

    ( ><)「君一人で。僕は此処で待ってるんです」

    ( <●><●>)「気弱な君がこんな人気のない墓地に居られるんですか。いつ戻ってくるかわかりませんよ」

    ( ><)「伊藤さんがいるから大丈夫なんです。二人で君を待ってるんです」

    ( <●><●>)「……」

    ( <―><―>)「……」

    ( <●><●>)「…そうですか。ならお言葉に甘えましょう。必ず明日のうちに戻ってきます」

    カランカラン…

    ワカッテマスがバーボンハウスにやってきたのは、昼の2時を少し過ぎた頃だった。
    あんなことがあったからか、以前よりかなり痩せたようだ。

    その瞳は憎しみに満ちている。果たしてそれは誰に対するものだろうか。
    彼女を殺した運転手か、それとも一一


    (´・ω・`)「やあ、久しぶりだね。少し痩せたようだが」


    彼は迷わずにカウンターの席に座った。
    他に客はいないからさぞ安心しただろう。

    人目を気にせず、言いたいこと全てが堂々と言えるのだから。


    ( <●><●>)「コーヒーでお願いします。それといくつか話したいことが」

    (´・ω・`)「…ああ、わかったよ。わかってる」


    すべて、わかっているのだろう。

    ワカッテマスはコーヒーを受け取ると、一口すすって語り始めた。


    ( <●><●>)「四日前、僕の友人が車に撥ねられて亡くなりました」

    (´・ω・`)「…うん」

    ( <●><●>)「新聞にも小さくですが載りました。車の種類を知っていますか?高級車だったんですが」


    ワカッテマスは確信に満ちた声で問い掛けた。
    それに答える声も落ち着いていた。

    (´・ω・`)「…詳しくは覚えてないけどね。黒のベンツ、だったかな」

    ( <●><●>)「そうです。しかしそんなことは新聞には一々書かれてません」

    ( <●><●>)「ならば何故あなたはそれを知っているのでしょうか」

    実に回りくどい聞きかたをする。
    わざわざそんなことをしなくてもよかったのだが、彼の用心深さは筋金入りだから仕方ない。

    (´・ω・`)「わかってるくせに。僕の変な体質知ってるだろ」

    ( <●><●>)「やはり、見てたんですね」

    (´・ω・`)「…ああ」

    ( <●><●>)「いつですか?」

    (´・ω・`)「前日だから、五日前かな」



    ( <●><●>)「…何故、教えてくれなかったんですか…?
    電話一本で済む話でしょう。貴方が動いていれば彼女は…」


    ワカッテマスの声が震えた。

    鋭い目は真っすぐに僕を見て、今にも叫びそうなほどの悲哀に満ちている。

    (´・ω・`)「前にも言ったはずさ。いくら人がいつどこで死ぬのがわかっても、それは誰かに教えるべきじゃない」

    いつか自分の体質を彼とビロードに明かした時、
    何故それを役立てないのかと責められたことがある。

    人が死ぬ瞬間を事前に夢に見る一一
    普通ならこれほど素晴らしい危険予知というのもそうないだろう。

    しかし僕はそうは思わない。


    (´・ω・`)「人は死ぬべくして死ぬんだ。原因がどんなに理不尽なものであろうと。
    それを受け入れるのも強さだ」


    僕のことは余程気に入った客にしか教えないので、
    店にそうでない客がいるときはこの話はしないように頼んでいる。

    彼は律儀だから、店内に誰かがいればこの件について話すことは絶対になかっただろう。

    実に良いタイミングで訪れてくれた。
    僕だって彼と話がしたかったから。


    ( <●><●>)「…貴方の言ってることは人殺しさえ正当化しているように聞こえます。
    誰が誰に殺されるのがわかっても貴方は動かないのですか」


    (´・ω・`)「それが夢でなく現実の目の前で起これば最善の行動はしたいと思う。
    でも僕の場合は反則じみてないかい?」


    (´・ω・`)「僕はこの世の全ての死を見るわけじゃない。見た夢に限ったってその人達全てを助けることだって到底ムリだ。
    そんな中知り合いで助ける手段があるからって一人だけ救うのは、ずるいと思う」

    ( <●><●>)「……」

    (´・ω・`)「それにね、ワカッテマス。人は前例があってこそ動くものだ。
    誰か一人の犠牲が後の百万人を救うかもしれない。
    勿論その逆もあるだろうが、僕の勝手な行動で歴史の歯車を狂わせるわけにはいかない」


    (´・ω・`)「これが僕の思うこと。何か質問はある?」


    ワカッテマスは僕から目をそらした。
    次に少し間を置いてからこう言った。

    ( <●><●>)「…僕は運命なんて信じないから、やはりその考えはわかりません」

    (´・ω・`)「他人の思想を理解すること自体がえてして難しいものさ」



    ( <●><●>)「でも…」


    ( <●><●>)「きっと、貴方が正しいんだと
    …なんとなくそう思います」


    ああ、本当に君は優しいんだな。
    大切な幼なじみを殺したも同然の男にさえ
    正しい なんて言ってくれるのか。


    ( <●><●>)「少しすっきりしました。今日はもう帰ります。
    ビロードと伊藤が待ってるんです」


    (´・ω・`)「そうか。ならちょうどいいや。
    今日はお代はサービスするよ。その代わりちょっと待っててくれ」


    僕は昨日買った黄色と白とオレンジの花束をワカッテマスに渡した。
    三色三種類の名前も知らない花たちは、特に意味はないけど彼女に似合いそうだったから。


    (´・ω・`)「伊藤さんに渡してくれないか。僕じゃ合わせる顔がないから君に頼むよ」

    ( <●><●>)「貴方が奮発してこれを買ったのはわかってます。確かに預かりました」


    では失礼します、と言って彼は扉を鳴らして出ていった。




    カランカラン…と静かな音が店内に響いて、
    僕にはそれが、彼と僕の哀しみが共鳴したもののように聞こえてならなかった。




    -fin-

 お題
・ベンツ
・花
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2008/06/04 21:32 | Comments(0) | TrackBack(0) | 総合短編

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