(;^ω^)「はぁ…はぁ…」
川 ゚ -゚)「…」
(;^ω^)「すこし…休まないかお…?クーさ…」
川 ゚ -゚)「却下だ」
(;^ω^)「…」
──さて、このようなやりとりを何回やっているのかなんて、僕はとっくに忘れてしまっているわけで。
(;´ω`)「……」
林を透かして溢れ出す太陽の光は、僕を休むことなくテラテラと照らしていた。
(;^ω^)「ふひっ…ふひっ…ふひっ…」
頬や額の上を流出す汗をそのままに、僕は足を動かしていく。
(;^ω^)(というか…頬の汗以前に、背中が汗でびっちょびちょだお…)
でもちょうどリュックを背負っていたから、その濡れたシャツは周りからはばれてないはずだった。
(;^ω^)「……あちぃ」
肩に掛けたタオルで顔を一拭きする。
しかし、もはや先ほどから汗を吸いすぎたタオルは、さほどその機能を果たしきれていなかった。
もう視界を上げることすら億劫になっていた頃。
何気なく上げた視界に、あの人の横顔が映る。
川 ゚ -゚)「…」
──それはこの真夏のように熱い天候の中、汗ひとつ浮かべないずに淡々と歩みを進める、超クールなお方。
(;^ω^)(貴方は本当に人間かお……?)
彼女の名前は素直クール。
僕を、このハイキングに誘ったきた人である。
──そして、僕の部活の先輩でもあったりする。
川 ゚ -゚)「…なんだ内藤。さっきから私の顔をジロジロと」
急に彼女はこっちを振り向きながらそう言った。
(;^ω^)「おっ……な、なんでもないですおー」
まさか問われるとは思わなかったた僕は、突然の戸惑いをうやむやにするため軽い返事で返す。
川 ゚ -゚)「む、そうか」
そう彼女は、呟いた。
──あれ、なんか先輩……残念そう?
川 ゚ -゚)「……」
いや、気のせいだろう。
(;^ω^)(どうやったら、あの無表情からそう思うんだお……)
よいしょ。っとずれかけたリュックを背負い直し、改めて前方へと目線を向ける。
( ^ω^)「…」
でもさっきから気になっていたのだが……頂上が一向に見えないのは何故なのだろう。
──天気が悪いからか?いや違うな。
山の頂上が見えないのは……これは単に『高すぎて雲に隠れてしまっている』が正解だ。
( ^ω^)「これはハイキング……かお?」
僕は、本当に、本当に今更ながらそう呟いた。
川 ゚ -゚)「なんだ。今頃気付いたのか」
先輩が三歩先ぐらいで、腰に手を当てながら言う。
(;^ω^)「え…?」
僕は驚きに声を上げるが、先輩は苛ついたように声を咎める。
川 ゚ -゚)「ほら、ぼさっとしてないでさっさと行くぞ。間に合わなくなる」
(;^ω^)「あの……すいませんが、どういう意味ですかお……?」
川 ゚ -゚)「……空気が読めない後輩には教えてやらん」
(;^ω^)「ちょwwwwww無茶振りwwww」
川 ゚ -゚)「夕焼けが綺麗なんだ。すんごくな」
──山を登る途中で、先輩はそう説明してくれた。
川 ゚ -゚)「思いでの場所でな。卒業までに、もう一度訪れたかったんだ」
なんの思い出ですかお?という質問をしたい欲求に掛けられたが、何故だかそれはできなかった。
──語った後の先輩の横顔は、なにか凄く思いつめた様子だったから。
( ^ω^)(先輩も…あんな顔するんだおね…)
今の僕にはそう考えることしかできなかった。
数十分後、結構な距離を歩いたと思う。
──だが、
(;^ω^)「ふひぃー…!も、もう駄目だお……無理一歩もあるけん…っ!」
まったく着かない。というか頂上に向かってんのすら分からない。
川 ゚ -゚)「まったく情けないぞ!それでもお前は我が部活の一部員かっ!」
(;^ω^)「幽霊部員だらけの部活がなにをいうお」
川 ゚ -゚)「うむ。しかし、その中で君は選ばれたのだ。つまり君は〝チョイスマン〟という栄光なる称号が──」
(;^ω^)「なんだお!そのネーミングセンスゼロの称号は!?もっとましなの考えろお!!」
川 ゚ -゚)「ん、そうかなら……幸運になるという『~ダニ』という語尾を付けることが可能になる称号、〝ブラックビスケッ……」
(;^ω^)「うわぁあああ!!!!ストップ!!!ストップだお!!!!」
なんだが、更にドッと疲れた。軽く目まいもしてきてるし。
( ´ω`)「はぁ…」
その場にしゃがみ込む。もう立上がりたくなかった。おうちに帰りたい。帰ってお風呂入って母ちゃんのご飯くってゆっくりしたい。
川 ゚ -゚)「しかたないなぁ…」
「なぁ、内藤」
その場に体操座りをして足と足の間に顔を埋めてる僕は、先輩の声しか聞こえない。
( ´ω`)「お?なにがですかおー…僕はもう立上がる体力も勇気もありゃしま───」
瞳を閉じたまま、疲れ切ったような表情をしながら顔を上げる──
ちゅっ
( ´ω`)「…」
( ^ω^)「え?」
すぐ目を開いてなにが起こったのか確認すれば、
川 ゚ー゚)「……」
すぐ目の前に、微笑む彼女の顔が──
( ^ω^)「え…あ、あの……あれ?」
え?なに?なんかさっき、すっごい柔らかいものがくちに──
川 ゚ -゚)「さ、元気は出たか?後輩」
( ^ω^)「へっ?あ、うん……」
川 ゚ -゚)「返事は「はい」だ!ばかやろー!」
(;^ω^)「あ、…は、はいっ!」
川 ゚ -゚)「うむ。よろしい」
うんうん。と頷き、その場からテクテクと歩きさって行く先輩。
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「…さっきのって……キス…だおね……?」
そっと自分の唇に、指を添えて見る。
するとやっぱり自分の体温とは他に、違う暖かみがあって──
『内藤ー!早くこい!』
遠くの方で、響く彼女の声。
( ^ω^)「あ、はい──」
(;^ω^)「ってもう姿が見えないお!?どこまでいってるんだお!」
僕は急いで駆け出して行った。──疲れなんて、もうとっくになくなっていた。
おわり
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