回覧注意(百合的な意味で)
ξ゚⊿゚)ξ「……凄いお弁当ね」
川 ゚ -゚)「……だろう? ただ一応断じておくが、私の趣味ではないからな」
クラスメイトの中でも飛び抜けて大人びて見えるクーだが、この時ばかりは、
うんざりした口調でそう言った。昼休み、彼女と二人きりでやって来た屋上。
そこで見た彼女のお弁当箱の中身は、あたしが今指摘した通りとても凄かった。
まず強烈なのが、色つきのお米で描かれたI LOVE MY DAUGHTDRの文字。
おかずにはたこさんウィンナーやらなんやら、お子様用メニュー? 終いにデザードにはうさちゃんリンゴときたものだ。
川 ゚ -゚)「これは酷い。流石の私でもこれは引くわ」
今日のお弁当は珍しく彼女の父自作のものらしい。
――奴は未だに私を幼児か何かと勘違いしている。いや、そんな妄想に浸っている、
と、言った方が正しいかな。正直、娘として恥ずかしい。そう苦々しげに語るクー。
実の父に対しなんと酷い言い様。まぁ、確かに十六のうら若き乙女のお弁当の中身を、
この様な強烈なモノで彩るというのは、あたしも確かにどうかと思う。
ξ゚ー゚)ξ「あら、でもいいじゃない。お父さん、きっとクーの事が大好きなのよww」
だが苦々しい口調の彼女に、笑いを含んだ口調であたしは返答する。
常に無表情な彼女の、今日のそのあからさまな嫌悪という態度は少々珍しい。
それを見て不意に芽生えたちょっとした悪戯心。あたしは、ついつい彼女をからかってみたくなった。
川 ゚ -゚)「よしてくれ。君も自分の身にふりかかれば、きっと勘弁願いたいだろうよ」
やはり彼女にしては珍しい。その嫌がる様子が普段見慣れないだけになんとも面白い。
あたしは先ほどと同じ調子で言葉を進めようとした。
ξ゚ー゚)ξ「でも、そんなこと言ってしっかり食べてるじゃないww
何だかんだでクーもお父さんのこと……」
そこまで言った直後、あたしの視界が急激に転回した。
ξ;゚⊿゚)ξ「きゃっ!」
川 ゚ -゚)「……」
あたしの目の前にはクーの顔がある。その背後には空が、太陽がある。
地面を背後に、重力を背後に感じる。クーがあたしの上に居る。クーがあたしの身体を組み敷いている。
あたしは彼女に押し倒されたことを、ここでやっと理解した。
川 ゚ -゚)「ツン、ダメじゃないか。そんな風に他人を揶揄うのは、いけないことなんだぞ?」
クーは真上からじっと変わらぬ表情であたしを見つめる。
それはいつものクーの平然とした口調だが、そこからは何やら妙な迫力が伝わってきた。
ξ;゚⊿゚)ξ「あぅ……ごめんなさい」
怒っているのだろうか? 彼女の表情に変化がないので、いまいち判別がつかないが、
もしそうだとしたら、彼女には悪いことをしたな。そう思い、あたしは珍しく素直に謝罪の言葉を口にした。
だが――
川 ゚ -゚)「ダメ、だな」
謝罪は拒絶される。クーは変わらずじっとこちらを見つめ続ける。
やはり相当怒っているのだろうか? どうしよう。このまま許して貰えないのは少々辛い。
今まで彼女との間にこういったトラブルは殆んどなかった。だからこそ困惑。
どう対処すればいいのかが解らず、あたしはつい彼女の真っ直ぐな眼差しから目を逸らし悩む。
そうしていると、彼女がまた口を開いた。
川 ゚ -゚)「ツン、君はいけない子だな。他人の恥ずかしい話を取り上げて、
ましてや、それをネタに揶揄うなんて。本当にいけない子だ」
ξ;゚⊿゚)ξ「うぅ……ごめんなさい」
彼女からの視線、言葉が胸に突き刺さる。
うぅ……でもちょっと揶揄ったくらいで何もそんなに言わなくても……。
悪いのはあたしなのだが、クーとは違い子供っぽい思考のあたし。
ついつい心の中で悪態を吐いてしまう。
川 ゚ -゚)「……ツン」
ξ;゚⊿゚)ξ「……」
クーの顔がずいと接近してきた。
あたしと彼女の間にもう距離は殆んどない。文字通りの目の前。
少し動けば簡単に届いて触れてしまう、そんな至近距離。
そして、クーが再度口を開く。
川 ゚ -゚)「そんな悪い子のツンには――」
川 ゚ー゚)「――お仕置きだな」
一瞬、クーが笑った様に見えた。が、それも本当に一瞬。
次の瞬間にはあたしにはまた別の衝撃が襲い、それを直ぐに忘れさせる。
――あたしと彼女の距離がゼロになった。
その時、あたしの唇に触れたのは何か。
温かい温もりを纏ったそれは何か。
それがクーの唇だと気付くのに、あたしは多少の時間を有した。
ξ///)ξ「ちょ……」
そしてそれに気付いた途端、あたしの顔は火を吹いた。
熱が込み上げてくる。羞恥により頬が熱く、顔が赤くなるのをあたしは感じた。
川 ゚ー゚)「ふふ、顔がゆでダコみたいになってるぞ?」
そう言って、クーは笑みを浮かべた。
それは怒りなんて微塵も含んでいない恍惚の表情。
成る程、これがお仕置きですか……。
ξ///)ξ「……うぅ」
……ごめんなさい。揶揄ってすいませんでした。
だがその後、クーはあたしが嫌がるのにも関わらず、
「お仕置きだ」と称して何度も同じことをしてきた。
お前、それただ接吻したいだけちゃうんかと。
だがあたしに抵抗する術はなく、
ただ彼女にそうされるがまま、今日の昼休みを終えるのだった。
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