ξ-⊿-)ξ(あー、ねむ……)
早朝、あたしは一人駅のホームにて佇み、始発の電車を待っていた。
恐らく酷く無防備な状態でそこに居ることだろう。これは全て昨夜の飲み会の影響なのだ。
あたしは、大学のサークル仲間たちとバンドを組んでいる。
昨夜も、とあるライブハウスのイベントに参加し、その後、
いつも通り打ち上げの飲みに参加し、そして気づけば明け方まで。
結果が現在の状態である。
メンバーとの別れ際、ギターを担当しているクーという子が、
「大丈夫か? 一人で帰れるか? なんなら私が付き添ってやってもいいぞ? ハァハァ…」
と申し出てくれたが、帰る方向が間逆なのと、何やら荒い吐息が気になったので、
大丈夫、無問題、No problemと丁重にお断りしておいた。
あたしは、半分睡魔に侵蝕された頭でそんなことと、ライブのことを思い出していた。
昨夜を一言で評するなら「比較的良かった」と、言ったところか。
実はまだ、バンド活動を始めて日が浅いあたしたち。
だが、あたし以外のメンバーは元々、楽器の経験があり、
ボーカルであるあたしの出来がマトモならば、そこそこのモノにはなるのだ。
つまり、昨夜はあたしの出来が「比較的良かった」と、言うこと。
声もいつもより出ていた(と思う)し、音も外さなかった(筈だ)し、MCもトチらなかった(だろうきっと)。
それに加えて、昨日はバンドとして初めてオリジナルの曲を演奏できたのがよかった。
今までは既存の曲のコピーばかりだったが、やはり自分たちで作った曲を演れるというのは、
感慨深いものがある。それにオリジナル曲に対する、お客さんの反応もそこそこ良かったし(見ている限りは)。
そんなことを考えていると、ふとあたしの耳に聞き覚えのあるメロディーが流れてきた。
( ^ω^) ~♪
ξ゚⊿゚)ξ(これは……)
聞き覚えがあるのも当然。
これは昨晩初めて人前で披露した、あたしたちのオリジナル曲だ。
それをあたしと同じように電車待ちをしている目の前の男性が口ずさんでいる。
彼は、きっと昨日のライブに来てくれていたお客さんの一人なのだろう。
そしてきっと、あたしたちと同じように朝まで飲んでいて、今から帰宅するに違いない
だが、昨日のライブの参加者はあたしたちだけではない。
他にも、あたしたちよりずっとずっと年季の長いバンドや、名の知れた人気のバンドも参加していた。
だが、その中で目の前の男性は、あたしたちの――昨夜一晩以外、何処でも演奏したことのない――
曲を覚えていてくれて、そして恐らくは気に入ってくれたのだろう。
( ^ω^) ~♪
ξ゚ー゚)ξ(フフフ…)
男性はその曲の演奏者の一人である、あたしがいるのには気づかず、
うろ覚えであろう、その歌を辿々しいく口ずさむ。
その様子をじっと見つめているあたし、思わずつい笑みがこぼれた。
――次のライブも頑張ろう。
そう決意しながら、あたしは彼の口ずさむメロディーをBGMに、
心地よく、電車の到着を待った。
お題
・電車待ち
PR
トラックバック
トラックバックURL:
コメント
無題
キラ☆キラかよ
posted by ななしさん at
2008/06/11
13:52
[ コメントを修正する ]